会長ご挨拶

  東京大学 櫻蔭同窓会 会長 大須賀 穣

 初夏の風に肌も汗ばむ頃、櫻蔭同窓会の皆様にはご清祥のことと存じます。時代は令和に移り、新たな時代への期待が膨らんでいるのではないでしょうか?古来、新たな時代に期待する気持ちは、あらゆる時代の節目にあったのではないかと思います。さて平成の時代を振り返ってみますと、周産期の領域にも大きな変革がいくつか存在したと存じます。大局的な観点からは産科医師不足により、分娩取り扱い施設の集約化が加速的に進んだことが最も大きいと存じます。その一方で、小規模分娩取り扱い施設は減少し、施設の特徴を生かした個性的な妊娠・分娩管理は少なくなってきたように感じます。大規模分娩施設でのガイドライン重視の管理は効率化と安全性向上のためには望ましいようにもみえますが、その過程で抜け落ちているものがないか少々不安に感じております。平成の時代に日本の人口は増加から減少に転じました。今後、一人一人に寄り添い、より妊婦さんの満足を高める個別的な指導・ケア・管理がますます重要になっていくと思います。この要求に答えていくうえで助産師の役割は極めて大きいと考えます。現代にあわせた助産のサービスを展開することにより、素晴らしい開業助産院を運営されている同窓会員がいらっしゃいます。一方で、大規模施設の所属でも独自の理念で周囲の協力を得て特色あるサービスを展開し、個別化したケアを成功させていらっしゃる同窓会員も多いと拝察しております。令和の時代にはダイバーシティーが進んで、一人一人が個々人に応じた満足のいく妊娠・出産を経験することになると思います。妊娠・出産のみならず、広く母子保健、女性の健康増進と医療のために同窓会の皆様が活躍されることを心から願ってやみません。

(2019.7月)